営業チームは、「優秀な営業マンの集合体」がいいのか、「普通の営業マンを仕組み化」する方がいいのか?
強い営業チームは会社の肝になります。
これまでに2つのタイプの強い営業チームを見てきました。
どちらが、より強いチームなのでしょうか?
そして、経営者としてはどちらを目指すべきなのでしょうか?
最初のタイプは、優秀な営業マンを雇って、それぞれに自由に動いてもらうような営業チーム。
なので、
【優秀な営業マンAさん + 優秀な営業マンBさん + ・・・】
という足し算のチーム。
もうひとつのタイプは、チームは普通の人材で構成されているが、一人ひとりが役割分担していて、みんなが協力しながら営業の仕組みを回すようなチーム。
例えるなら、
【(普通の営業マンAさん + 普通の営業マンBさん + ・・・)× 仕組みの威力】
という掛け算が入るイメージのチーム。
以前勤めていた外資系投資銀行にめちゃくちゃすごいチームがありました。
業界でも有名で、「そこにいた」と言えばどこへでも好条件でヘッド・ハントされるような花形部署でした。
そこは、前者でした。
そこのマネージャーはもともとめちゃくちゃ優秀な営業マンで、毎年ダントツの営業成績をあげておられました。
マネージャーに昇格した後、同業他社から優秀な営業マンを引き抜き、更にチームを大きくしていきました。
そして、前者のイメージの「超優秀な営業マンの集合体」を作り上げました。
超優秀な営業マンの集合体なので、チーム・メンバーの(その部署の一員であるという)誇りは非常に高く、よってモチベーションもとても高く、競争心は尋常じゃないくらい凄くて、それらが相乗効果となりさらにすごい成績をあげるチームとなっていました。
傍から見ていて、この方法「あまり外れのない手堅い方法」と映りました。
一方、私がいた部門の海外オフィスの事例ですが、「役割分担をして、営業を仕組み化している」すごいチームがいました。
営業を大きく3つの役割に分けて、新たな顧客候補との接点を作る担当(マーケティング)と、接点を持てた顧客候補を「顧客」とするクロージングの担当(販売)、そして晴れて「顧客」となったお客さんに資産運用のサービスを提供する実務部隊(運用サービスの提供)です。
(顧客のリレーションシップ管理は、クロージング担当がやっていました)。
チーム内では常にコミュニケーションをとって、より効果的な方法を模索していました。
全員が情報収集するので情報のインプット量もすごく大きくなりますし、それをチーム全員で議論するので“料理の仕方”も洗練されます。
そして、仕組み化することでもの凄く効果的に機能する流れが出来上がっているようでした。
また、新規開拓営業などは「とても苦しい営業(特に、精神的に)」の代名詞ですが、仕組み化することで精神的な負担はかなり軽減されているようでした。
― うまく出来れば効果は高いが、外れも多い「仕組み化」というやり方 ―
後者のタイプが、私にとっての理想の営業チームに映っていました。
が、大きな課題もありました。
予想される通り、「仕組み化の設計」はとても難しく、そこが下手だとまったく機能しない営業チームになってしまいます。
機能しない上に、理屈や批判ばかり言って手を動かさない人の集まりになってしまうケースも多々あるようでした。
営業担当者が最初の顧客接点からサービスの提供までを一気通貫で担当しないので、責任の所在があいまいになることが多いようです。
また、前後の工程の担当者間ですり合わせがうまくできない場合もあり、工程を経る度に多くの見込み客が離れていってしまう、という状況もあるようでした。
なので、「うまく出来れば効果は高いが、外れも多いし、うまくやれるまでに時間もかかる」ということになるようでした。
もちろん、業種やそれぞれの企業文化によってもどちらがフィットするかは変わってきますので、一般化するのは難しい判断だとも思います。
しかし、経営者として「強い営業チーム」を目指す場合、どちらのタイプを目指すべきなのか?という大きな疑問があります。
複雑な仕組みなどは考えず、「まずは、優秀な営業人材を集めていく。そして、育てていく」というシンプルな作戦。営業力が足し算的に確実に積み上がるので、堅実な方法です。
しかし、「優秀な営業マン」というのはそんなにいませんし、直ぐに採用できるものでもありません。また、普通の人材を優秀な営業マンに育てるのも、かなり高度な技術が必要になります。
一方で、「普通の営業マンを仕組み化する」のは、「人材の確保」という最も難しい部分に依存する割合が低いので、(「仕組みの設計力」という難しいパーツが必要になりますが)強い営業チーム作りには近道になるのではないか、とも感じます。
また、これは営業チームに限ったことではなく、他の部門・部署でも「よく機能するチームをどのように作るか?」という話ですし、営業のような「個人の足し算」で動いていない部門にとっては「仕組みこそが命」ともなりますので、とても重要なポイントになると思います。
結論として、「強いチームのための仕組み作り」はとても難しいチャレンジですが、トライする価値のある試みではないか、と思っています。
そして、その「仕組み作り」について、今後のブログで経験談をまとめていきたいと思います。